アンジェニュー レトロフォーカス TYPE R11 28㎜ F3.5

レンズ

おフランス謹製アンジェニューの第二弾は、個性的な外観が特徴的なエキザクタマウントの広角レンズです。単に個性的なだけにとどまらず、スタイルや仕上げの美しさが高級感を醸し出していて、ちょっと宝飾品のような趣すら感じます。

全身シルバーの美しい外観

このレンズで最も目を引くのは、何といっても横に飛び出した謎の突起でしょう。その先端にはレリーズ用のネジが切られたボタンらしきものがありますが、これは正にカメラのシャッターボタンを押すためのもので、押し込むと絞りが設定値で作動するようになっています。

つまり、シャッターを切る時だけ絞りを作動させる仕組み(自動絞り)で、この仕組みがない場合(実絞り)はシャッターを切る前に絞り込む必要があるため、暗くなったファインダー像を見ながらシャッターを切らなければならなかったのです。

さて、次に同じくらい目を惹くのが、レンズの上に乗っかった絞りダイヤルです。

絞りダイヤル

まぁ、物珍しさはありますが、特に説明の必要はないでしょう。それよりもこのレンズ、絞りの形状が変わっています。

F5.6時の絞り形状

通常、絞りの形は円形に近づくように設計されるのですが、これは真逆を行っています。何らかの効果を狙ったものと推察しますが、今回の試写ではよくわかりませんでした。

レンズ下側 下方のレバーで自動絞りと実絞りの切り替えが可能
切り替えると二重線の色が黒から赤に変わります

このレンズはフロントエンドから距離指標までが一体の回転式ヘリコイドとなっており、一番太い部分を回すため、ピント合わせはし易いはずです。

しかし、実際は28mmという広角且つF3.5の暗さのため被写界深度が深く、α7Sで拡大しながらのピント合わせでもピークがつかみづらく苦労させられました。ヘリコイドが結構細かいことも、ピークを掴みづらくしている要因のひとつでしょう。

次に、カメラに装着したときのルックスを見てみましょう。

エキザクタ・ヴァレックスⅡaに付けたところ。よくお似合いです。
逆光を受けて
試写はα7Sで行いました。やはりスタイルは如何ともし難く・・・

では、作例にまいります。

F3.5開放 周辺減光があります
中央部等倍切り出し 少し甘いように見えるのは『味』?それともピンボケ??
周辺部等倍切り出し まぁ、それなりでしょうか
F5.6 まだ少し周辺減光があります
中央部等倍切り出し だいぶスッキリしました。
周辺部等倍切り出し 半分ほどは良像範囲に入りました
F8 周辺減光も気にならなくなりました。
中央部等倍切り出し
周辺部等倍切り出し まだ甘い部分は残るものの、十分な画質です。
F11
中央部等倍切り出し F8の方が僅かに良いような・・・
周辺部等倍切り出し ほぼ不満のない画像です。
F16
中央部等倍切り出し 解像力が低下?
周辺部等倍切り出し 解像力・コントラスト、共に低下
F22 やる意味あるのか?
中央部等倍切り出し 解像力更に低下
周辺部等倍切り出し 同じく、コントラストも低下

逆光でも撮ってみました。

F3.5開放 このフレアは撮像素子の反射かな?
F5.6 これくらいなら作画に活かせるかもしれませんね。
F8 フレア消えました。
F11

・・・

試写の結果、写りにはその外観ほどのインパクトはなく、開放付近の甘さや周辺減光を愛でる至って普通のクラシックレンズ、というのが寄り亀の感想です。

むしろ、撮影結果に何かを求めるのではなく、エキザクタのボディとセットで、その操作感の非日常性をより高めるアイテムとして、撮影する行為(もっと言えばカメラいじり)を楽しむ機材と言ってもいいかもしれません。

この点が、寄り亀にとっては我が『愛玩カメラ』であるパナGM1にとても近い存在なので、このブログのトップページでは仲良く並んで写っているのでした。

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