キルフィット・マクロキラー D 40mmF2.8

レンズ

今回紹介するクラシックレンズはマクロレンズです。見た目はコロンとしてカワイイのですが、その名は何故か『マクロキラー』。

何やら物騒な名前ですが、危険はありませんのでご安心を。但し『沼から出られない』場合がございますので、くれぐれも自己責任でご対応ください。

寄り亀の所有する個体はM42マウント。他にもエキザクタ他、いろいろなマウントがあったようです。かつてマウントアダプターが少なかった時代はM42が運用しやすく人気のマウントでしたが、マウントアダプターの種類も増え価格もリーズナブルになった今では、あまり重要ではなくなりました。

さて、このレンズの最大の特長は、この小ささ(カワイさ?)でありながら、単体でほぼ等倍の撮影が可能なことでしょう。

その秘密は・・・

ニョ~ンと伸びるダブルヘリコイド!ここまで伸びます。
1:1.1の刻印があるので、最大撮影倍率は0.91倍ほどのようです

もう少し各部を見てみますと、

フードが内臓されていて、引っ張ると外せます。押し込むとスリ割りのバネでカチッと嵌まります。
フードを外した状態で正面から。鏡胴も小さいですが、レンズも小さいです。
ミラーレスカメラに付けると、マウントアダプターとレンズの大きさがさほど変わりません。

では、続いてα7Sによる作例です。先ずはマクロから。

最短撮影距離 F2.8開放
等倍切り出し
F5.6
等倍切り出し
最短撮影距離 F2.8開放 ルッコラの花です。
等倍切り出し 色収差も目立たず、よく解像しています。
F8
等倍切り出し 流石はマクロレンズ。解像力は想像以上です。

次に遠景描写です。

F2.8開放
中央部等倍切り出し 良く解像しています。
周辺部等倍切り出し ん?これは一体どうしたことか??
F8
中央部等倍切り出し
周辺部等倍切り出し だいぶ改善されましたが、最周辺部の少し内側だけピントが来ていません。

ということで、遠景描写に不具合がありました。はたして、この個体だけの問題なのか、或いはマクロ優先で光学設計した結果、像面湾曲が残ったということなのか?

解像力がこれだけ優秀なことを考慮すると前者であること(誰かが分解・再組立して本来の光学性能が失われた等)が推察されますが、複数の個体を比較してみないと何とも言えないところです。

〔余談〕

マクロキラーには90mmF2.8もあり、以前入手して保有していました。これが実に不思議なレンズで、構成するレンズの1枚が周辺部で曲率が変わっていたのです(曲率が変わるところはエッジになっているので、よく見ればわかります)。

その結果、絞り解放では焦点位置が2つあるので、ピントの合った画像にピンボケの画像を被せたような絵になります。ところが、絞って曲率の変わった部分が隠されると普通のレンズになるのです。

次のリンク先に作例があり、開放とF4でボケ方が全く異なるのがわかります。

Kilfitt Makro-Kilar 90mm (キルフィット マクロ・キラー)知られざる生態を徹底解剖!
ウチの商品には、なーーんにも関係ない話をします。 私がニコンに無理矢理つけている、世界初のマクロレンズの独キルフィット社製マクロキラー90mmの生態を詳しく調べてみようと思いつきました。というのも、こ

最初の個体を入手して曲率の違いに気付いたとき、これがデフォルトだとは思えませんでした。そこで追加で2つ入手しましたがいずれも同じで、ようやくそういう仕様だと理解するに至ったのでした。

そんなレンズを作るメーカーですから、40mmも普通の設計ではなく何らかの意図で像面湾曲を残していても不思議ではない、と寄り亀は考えています。

(5月23日修正)

引っ越し後未開封の荷物から、処分したと思っていたマクロキラー90mmF2.8が出てきました。上に記したレンズの曲率の違いを確かめましたが確認できず、レンズの映り込みを誤って解釈していた可能性が高いので、一旦取り消しました。

90mmについては別記事にしたいところですが、残念ながら保管状態が悪かったためカビが発生しており、作例を用意するのに耐えられるかちょっと怪しいです。